
発達障害についての概要
当院では、発達障害に関する診断・ご相談を行っています。
発達障害とは、生まれつきの脳の働き方の違いによって、行動や感情、対人関係、学習などに独自の特性が現れる状態を指します。「できない」「おかしい」というよりも、「周囲と感じ方や考え方が違う」と表現した方が正確です。
代表的な発達障害には、以下のようなものがあります。
- 自閉スペクトラム症(ASD):人との関わり方やコミュニケーションが独特で、強いこだわりや感覚の敏感さなどがみられます。
- 注意欠如・多動症(ADHD):集中が続かない、落ち着きがない、衝動的に行動してしまうといった傾向が目立ちます。
- 学習障害(LD):知的発達には問題がないにもかかわらず、読み書きや計算など、特定の学習分野が極端に苦手です。
発達障害は子どもだけでなく、大人にもみられます。また、年齢や環境によって特性の現れ方が変わることもあります。
症状と特徴
● 自閉スペクトラム症(ASD)
- 相手の気持ちを察するのが苦手
- 会話が一方通行になることがある
- 音や光、触感などに過敏
- 同じやり方・予定を好み、変更に強い不安を感じる
- 興味が限定されていて、特定の分野に高い集中力を発揮することも
● 注意欠如・多動症(ADHD)
- 忘れ物やうっかりミスが多い(不注意)
- じっとしているのが苦手で体が動いてしまう(多動性)
- 思ったことをすぐ口に出してしまう、順番が待てない(衝動性)
これらの特性は、本人の意思や努力とは関係なく現れるものです。見た目では分かりにくく、誤解や不理解が原因で、人間関係や自己評価に影響を与えてしまうことも少なくありません。
治療・支援について
発達障害に対する治療は、「障害を治す」ことではなく、「生活のしづらさを和らげ、その人らしく過ごせるようにする」ことを目的とします。
● 環境調整と心理的支援
- 日常生活での困りごとに対して、環境の工夫や行動の見直しを一緒に考えていきます。
● 薬物療法
ADHDなどの場合には、必要に応じて薬を使うことがあります。
- 中枢刺激薬(コンサータなど)は、集中力を高め、衝動的な行動を抑える働きがあります。<当院では、コンサータは処方しておりません>
- インチュニブ(一般名:グアンファシン)は、ノルアドレナリンの働きを調整し、落ち着きや衝動性の改善を目指す非刺激薬です。副作用として眠気や血圧の変化が出ることがあります。
薬物療法は、あくまで選択肢のひとつであり、効果や副作用を確認しながら慎重に進めていきます。
ご相談ください
発達障害の診断は、「何ができないか」を決めるものではなく、「どんな支援があると生活しやすくなるか」を見つける手がかりです。
「学校や職場でうまくいかない」「親としてどう対応したらよいか分からない」など、困りごとがあるときは、どうぞ一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
当院では、発達障害に関する診療・ご相談などを行っております。まずはお気軽にお問い合わせください。